ラジウムについて

ラジウムについて

ラドン泉の効能

 放射能を含んだ温泉があるのをご存知ですか?ラドン泉がそれです。山梨県の増富温泉、秋田県の玉川温泉、鳥取県の三朝温泉がラドン泉です。世界ではドイツのバーデン、オーストリアのバドガシュタイン、アメリカのボウルダーなどもラドンです。

 以下、我孫子研究所・生物科学部室長、医学博士石井敬一郎先生に伺った。

ラドンって何?

 地球の地下深くの岩盤にはウランとかトリウムという天然の放射能元素が多量に含まれています。両方ともにアルファー線を放出すると、気体のラドンという元素に変わります。ラジウムから放出される気体という意味で「ラジウム・エマナチオン」と呼ばれたのです。

 温泉は地下水が地熱によって熱せられたものですが、ウランやトリウムが多量に含まれた地下岩盤の近くから湧くと、温泉水の中にラジウムやトリウムが溶解します。

 これらの放射線の寿命はラジウムが1620年。ラドンは三日と短いのですが、地表にまで湧出した温泉水の中にはかなりの量が残っています。ここ増富の温泉水の中にもラジウムとラドンは相当量が残っており、増富温泉のラジウム泉もこのような過程を経て湧出しているのです。この温泉水の中には世界でも有数のラジウム・エマナチオンが含まれています。

 さて、ラジウムやラドンが放出するアルファー線が、空気中を通過するときに空気をイオン化します。ラジウム泉の効用は、このイオンが身体を刺激するためと考えられています。また最近では多量では危険な化学物質も、微量では医薬になるのと同様に、微量な放射線による軽度な刺激は、身体を活性化させるのであろうという「放射性ホルミシス」という考え方が、学会などで論議されています。

 増富温泉の効用には、イオンによる刺激効果以外に、温泉水中のラジウムやラドンによる放射線ホルミシス効果が関係している可能性が高いと思われます。ですから入浴による効果とそのガスを吸う効果が相乗して身体に良い結果となるでしょう。

 では、なぜラドン泉やラドン洞窟がいろいろな難病に効果があるといわれているのか現在の医学では、まだはっきりとわかっていませんが、その手がかりとなる「放射線ホルミシス」についてまとめました。

放射線ホルミシスとは

 放射線ホルミシスという言葉は、米国ミズリー大学教授で生化学の分野で著名なトーマス・Dラッキー博士が1882年12月号の米国保険物理学会誌で発表した論文の中で使ったのが最初です。これは『少しの放射線は、免疫機能の向上などをもたらし、身体のあらゆる活動を活性化し、病気を治したり、病気にかからない強いからだにしたり、老化を抑えて若々しい身体を保つなど、あらゆる良いことをする』という。少しの放射線でも有害であるとする社会通念や放射線を人から防護する既成概念とはまったく異なる画期的なものでした。

 これをきっかけに、世界中でその真偽を確かめる 研究や調査が始まり、日本では10数年前から大学や研究所などで動物実験を中心とした研究が始まっています。ここでは今まで得られている研究結果の中からいくつかを紹介します。

放射線による医学的効果

 動物実験の結果などからは、少しの放射線は明らかに生物に有益な影響をもたらすと考えられる研究結果が得られています。それでは、これらの研究成果などを人の病気の治療に応用するとすれば、どのような可能性があるのでしょうか。最近の分子生物学など生命科学の知見をを元にまとめると、次のようなことが考えられます。

 少しの放射線を受けた場合の医学的な効果が、身体が様々な条件に応じて生理的な反応をすること(適応応答)が、その根底にあると思われます。ラドン泉をはじめとする少しの放射線による良い効果が、そうした防御反応の現れであろうと考えられています。現在判っているメカニズムをまとめると、以下の用になります。

 まず放射線、特にエックス線やガンマ線は、物質を透過する力が大きいので身体の内部にまで届きます。放射線が身体を透過するときに、身体の中で一番はじめにおこる出来事は、水分子が放射線によって分解され、反応性の非常に高いフリーラジカルび一種であるヒドロギシルラゾカル(H0・が出来ることです。全てはここから始まります。

 身体は90%以上が水で出来ていますので、いたる所でこのヒドロギシルラゾカルができると考えて良いでしょう。これが多重にできてしまうとDNAが損傷し、細胞が死に、その結果病気や死に至ることがあります。しかし、少量の場合は細胞内に刺激を与えるにとどまり、それが合図となって細胞の防御機能を高め、身体に良い影響をもたらすことになります。

病気治療への応用の可能性

【鎮痛効果】

少しの放射線を当てると、脳内ホルモンの一種で、様々な痛みを緩和する作用を持つメチオニンエンケファリン、ベータエンドルフインなどの分泌を促進することが知られています。 これらの物質を誘導するメカニズムは未だ明らかではありませんが、オーストリアのバドガシュタインや、アメリカのボウルダーなどのラドン泉や、ラドン洞窟でのリュウマチ性関節炎、腰痛、筋肉痛などの痛みに対する治療効果は、この鎮痛作用によるものでしょう。

【ガン治療効率と再発防止】

悪性リンパ腫では少しの放射線を当てると、治療を従来のガン治療と組み合わせることで、治療効率の向上がみられました。この方法は、他の胃ガンや肺ガンなどの固形ガンにも応用できる可能性があります。このメカニズムとしては、ガン抑制遺伝子の増加、免疫機能の活性化によるガン細胞除去能力の向上が考えられます。

【病気の進行抑制】

アルツハイマー病、糖尿病、ウイルス性肝炎をはじめとする難病の多くは、活性酸素によって組織内の細胞が次々死んでいくためです。少しの放射線を当てると、細胞内のSODやGPxなどの酵素が細胞内に増加し、活性酸素などによる害を抑え、結果として病気の進行を抑える可能性があります。糖尿病については、マウスで病状の進行が抑制されたという実験データもあります。

【老化の防止】

新陳代謝、細胞膜の保護、酸化を防御する機能、免疫機能など老化に伴って一般的に低下するこれらの機能が、少しの放射線を当てることによって総合的に活性化され、老化の防止につながる可能性があります。

【泉質名】

含放射能・二酸化炭素・ナトリュウム・塩化物温泉

【温泉の成分】

ラドン、クロムナトリュウム、重炭酸カルシュウム、硫酸カリュウム、硫酸アルミニュウム、メヨ珪酸、クロームカリュウム、重炭酸マグネシュウム、遊離炭酸、硫酸ナトリュウム

【温泉の効能】

胃腸及び肝臓の慢性諸症状、リュウマチ、神経痛、肝硬変、糖尿病、ゼンソク、痛風、動脈硬化、扁桃腺炎、痔病、腺病、神経衰弱、気管支カタル、肋膜炎、咽喉喉頭カタル